このブログでは、企業の顧問弁護士をしている者の立場から、日々接している法律問題のうち、一般的な情報として役に立ちそうなものをメモしています。ジャンルは幅広く扱っていますが、近時、解雇や残業代の問題などの労務問題が増えているので、そのような傾向を反映した形でのテーマのバラつきはあるかもしれません。
今日は、時間外労働義務についてです。最高裁は、36協定が締結され、当該36協定に基づく時間外労働義務が就業規則に規定されている工場において、時間外労働を拒否した労働者を懲戒解雇した事例において、懲戒解雇は有効であると判断しました。以下は当該判決文の引用です。
労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三二条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる三六協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該三六協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、当該就業規則の規定の内容が合理的なものである限り、それが具体的労働契約の内容をなすから、右就業規則の規定の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負うものと解するを相当とする(最高裁昭和四〇年(オ)第一四五号同四三年一二月二五日大法廷判決・民集二二巻一三号三四五九頁,最高裁昭和五八年(オ)第一四〇八号同六一年三月一三日第一小法廷判決・裁判集民事一四七号二三七頁参照)。
3 本件の場合、右にみたように、被上告人の武蔵工場における時間外労働の具体的な内容は本件三六協定によって定められているが、本件三六協定は、被上告人(武蔵工場)が上告人ら労働者に時間外労働を命ずるについて、その時間を限定し、かつ、前記・・・所定の事由を必要としているのであるから、結局、本件就業規則の規定は合理的なものというべきである。なお、右の事由のうち・・・所定の事由は、いささか概括的、網羅的であることは否定できないが、企業が需給関係に即応した生産計画を適正かつ円滑に実施する必要性は同法三六条の予定するところと解される上、原審の認定した被上告人(武蔵工場)の事業の内容、上告人ら労働者の担当する業務、具体的な作業の手順ないし経過等にかんがみると、右の・・・所定の事由が相当性を欠くということはできない。
会社の方で、以上の点に不明なことがあれば、顧問弁護士にご相談ください。また、交通事故の示談や借金返済など法律問題につき相談したい個人の方も弁護士にご相談ください。なお、法律というのは絶えず改正が繰り返され、日々新たな裁判例・先例が積み重なっていきます。法の適用・運用のトレンドもその時々によって変わることがあります。そして、事例ごとに考慮しなければならないことが異なるため、一般論だけを押さえても、最善の問題解決に結びつかないことが多々あります(特にこのブログで紹介することの多い労務問題(残業代請求、サービス残業など)は、これらの傾向が顕著です)。そして、当ブログにおいて公開する情報は、対価を得ることなくメモ的な走り書きによりできあがっているため、(ある程度気をつけるようにしていますが)不完全な記述や誤植が含まれている可能性があります。法律問題に現実に直面した場合には、一般的な知識のみに基づいてご自身で判断せず、必ず専門家(顧問弁護士・法律顧問など)に個別にご相談いただくことを強くお勧めします。
コメントを受けつけておりません。
カレンダー
02 | 2025/03 | 04 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ||||||
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
30 | 31 |
リンク
カテゴリー
フリーエリア
最新CM
最新記事
最新TB
プロフィール
ブログ内検索
アーカイブ
最古記事
P R