顧問弁護士(法律顧問)がよく受け付ける質問をテーマごとにまとめています。このブログでは、企業の顧問弁護士をしている者の立場から、日々接している法律問題のうち、一般的な情報として役に立ちそうなものをメモしています。ジャンルは幅広く扱っていますが、近時、不払いの残業代請求や解雇の問題などの労務問題が増えているので、そのような傾向を反映した形でのテーマのバラつきはあるかもしれません。
今日は、休日の付与についてです。休日の付与についての基本原則は、「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。」(労基法35条1項)というものです。昭和62年の労働基準法の改正により、1週間の法定労働時間が40時間となったため、現在は週休2日制を採用する企業が多いですが、法律上の最低基準は毎週1休日です。ここに休日の「日」という単位は、「午前0時から午後12時まで」をいうので、単に継続して24時間の労働義務を負わない時間があっても(例:午前5時から翌日の午前5時)、休日ではありません。四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については、週休1日制の適用はありません(労基法35条2項)。もっとも、この制度を採用するためには、就業規則において単位となる4週間の起算日を決めておく必要があります。事前の休日の振替は、使用者が一方的にできるものではなく、原則として、労働者の個別の同意が必要です。ただし、労働協約や就業規則上、業務の必要により就業規則で定める休日を他の日に振り替えることができるとする規定があり、それに従って行われれば、振替は可能です。ここに、労働協約とは、労使が団体交渉によって取り決めた労働条件やその他の事項を書面に作成し、両当事者が署名又は記名押印したものをいいます(労組法第14条)。その効果としては、①平和義務:労働協約の有効期間中に、その協約に定められた事項の変更を要求して、争議行為を行うことは許されないこと、②規範的効力:労働協約で定められた労働条件やその他労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約や就業規則は、違反する事項は無効となり、労働協約が優先すること(労基法第92条、労組法第16条)、③債務的効力:労働協約のうち団体交渉のルールなど使用者と労働組合との関係を規律した債務的部分については、一般の契約と同様に当事者間に債権債務の関係が発生すること、という効果があるといわれています。事後の休日の振替も、使用者が一方的にできるものではありません。そして、就業規則上の休日が変更されないまま労働日となったのですから、使用者は労働基準法上の休日労働の条件(臨時の必要がある場合、労使協定に依拠する場合)を満たす必要があり、しかも割増賃金を支払う必要があります。休日の付与に限らず、企業法務に関してご不明な点がありましたら、顧問弁護士(法律顧問)にご相談ください。その他、知人が刑事事件で逮捕された、交通事故の示談でもめている、などの法律問題でお悩みの方も、弁護士にご相談ください。
なお、当ブログの情報は、対価を得ることなくメモ的な走り書きによりできあがっているため、(ある程度気をつけるようにしていますが)不完全な記述や誤植が含まれている可能性があり、また、書いた当時は最新の情報であっても現在では情報として古くなっている可能性もあります。実際にご自身で解決することが難しい法律問題に直面した場合には、一般的に得られる知識のみに基づいてご自身で判断してしまうのではなく、必ず顧問弁護士などの専門家に個別にご相談いただくことを強くお勧めします。最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者から未払いの残業代を請求されるというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、顧問弁護士を検討することをお勧めします。
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