当ブログでは、
時間外労働に関する裁判例を紹介します(つづき)。
三 これに対し、被告会社は以下のとおり反論する。
(一) 家族手当付加額のストライキカット及び割増賃金(残業代)の基礎額不算入の取扱いは、賃金増額配分の内容の一部であった。被告会社は、右取扱いを未妥結のまま切り離して賃金増額分の支給のみを実施する考えはなく、団体交渉の席上でもその意思を明確にしている。
したがって、団体交渉においては、被告会社と組合との間では、賃金増額配分全体について合意に至っていない。
(二) 家族手当付加額は、扶養家族数に応じて金額が異なるという労働者の個人的な事情によって支払われる手当であり、労働基準法三七条二項にいう家族手当に該当する。
(三) 本件家族手当付加額のストライキカット及び割増賃金(残業代)の基礎額不算入の取扱いは、有扶手当以前の家族手当(以下「旧家族手当」という)の取扱いと全く同様のもので、これについては、被告会社と組合との訴訟において適法性が確認され、あるいは適法性がその判断の前提とされている。
第三 争点に対する判断
一 争点に対する判断の前提として、本件家族手当制度の改正に至るまでの経緯及び改正の内容の詳細を認定すると概ね以下のとおりである(争いのない事実を含む)。
(一) 被告会社においては、昭和二三年ころから、就業規則の一部である社員賃金規則中に、ストライキ期間中、その期間に応じて家族手当を含む時間割賃金を削減する旨の規定を置き、右規定に基づいてストライキ期間に応じた家族手当の削減を行っていた。そして、右旧家族手当の具体的内容は、昭和四八年九月当時以下のとおりであった(書証略)。『扶養家族を有する社員に対し次の家族手当を支給する。
1 扶養家族である妻又は不具廃疾の夫
一か月につき 七〇〇円
2 その他の扶養家族
ア 第一人目及び第二人目 一か月につき 五〇〇円
イ 第三人目 一か月につき 四〇〇円
ウ 第四人目 一か月につき 三〇〇円
エ 第五人目以上 打切り』
右旧家族手当は、時間割賃金の基礎に算入されないが、前記のとおりストライキカットの対象となっていた。
(二) 昭和四七年に至り、組合の組合員らは、被告会社を被告として、以下のような理由から旧家族手当のストライキカットは違法であるとして、カット額の返還を求める訴訟を提起した。
(1) 家族手当(旧家族手当)は賃金中いわゆる生活保障部分に該当し、労働の対価としての交換的部分には該当しないので、ストライキ期間中といえども賃金カットの対象とすることができない部分である。
(2) 家族手当のカットは、労働基準法三七条二項が家族手当を割増賃金(残業代)算定の基礎に算入しないとしていることの法意に反する。
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